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デザインシンキングを活用した業務効率化提案の取り組み

 

長年ご支援させていただいている某信託銀行様においては近年、業務効率化が推進されてきており、現在では行員様一人ひとりにも改善提案が求められるようになってきています。

15年以上の業務支援の実績がある当社にも、業務知識を活かした業務改善提案に対する期待が高まり、ご提案の機会が増えてきた背景から2019年度より「デザインシンキング」を活用した業務効率化提案の取り組みによりシステム開発を任されるなど、当社の業務改善提案はお客様にご好評です。

当社ではお客様とのパートナーシップを大切にし共に歩み共に創ることをモットーにしていることから、「人間を中心にして新しい発想(イノベーション)」を生み出すための手法である「デザインシンキング」に着目。

「なぜデザインシンキングなのか」というポイントも含め、その一部の事例についてご紹介します。

事例概要

某信託銀行様に日常的に発生している困りごとをヒアリングした結果、業務改善を行う上で「システム監視・データ補正業務」がボトルネックであることをお客様とともに特定しました。この業務では、基幹システムの日次監視や出力帳票の手加工において細かなニーズを捉えて行員様にて実施する必要があり、この対応に多くの時間を要していていることが潜在的な問題となっていました。この潜在的な問題や課題を可視化した上で、本業務の事務フローの整理や作業の自動化を目指します。その実現にあたり、共感することからアプローチする「デザインシンキング」を活用し、今まで具現化できなかった解決策を見つけ出しました。

その結果、下記施策を支援しました。
 ①事務フローの見直し
 ②新規ツールの開発
 ③業務の効率化

結果として、業務改善提案活動は「デザインシンキング」を活用したことにより目的に対してダイレクトに施行できる効果的な施策となり、おかげさまでお客様からご好評いただき、2019年度以降も継続的にご提供し続けています。

 

課題

お客様において、目下の課題は業務効率化であり、その課題解決がお客様のご要望でした。ただ、具体的な課題や施策を検討することが難航しており、即座に実施することができない状態でした。そこで、お客様の状況をヒアリングしていくと下記のような潜在課題が見えてきました。

お客様の某信託銀行様では、いわゆる「トップダウン式」で業務改善に取り組んでおりますが、改善提案を検討する行員様の中には
 「課題はあるが何から着手すべきか分からない」
 「業務に手いっぱいで業務改善案の検討をする時間がとれない」
などの意見があり、具体的な検討が進まずお困りの状態であることがわかりました。

そこで当社ではこれらの状況から有効な手立てとして、
・問題の見える化
・課題の整理
からサポートし、施策の具体化を目指しました。

まず、これまで活動目的を具体的にできないことから活動時間の確保が難しかった状況を打開していきます。当社がお客様の中で橋渡しを担うことで、この活動の目的を明確にして対象課題とその必要性から「やらなければならない業務」の一つとしてご理解いただき、お客様ご担当者の活動時間を確保することに成功しました。
その後は「人間を中心にして新しい発想(イノベーション)」を生み出すための手法である「デザインシンキング」を活用して、お客様ご担当者とともに課題の本質に向けた課題解決を行っていきます。

今回はお客様業務の中で「残高の監視・修正」業務の改善が現状最も必要性があることをデザインシンキングで発見し、プロトタイプで現実性を確認できたことで案件化を実現し本格的な業務改善に取り組むこととなりました。

 

「デザインシンキング」で業務改善の提案

デザインシンキングとは

従来のビジネスにおける「技術・市場」を起点とするアプローチとは異なり、ユーザのニーズ、欲求、願望を発掘することから始まる「人間」を起点とすることで、新しい発想(イノベーション)を生み出す手法。
「ユーザの視点に立った課題の本質を発見」を特徴とするデザインシンキングは、変化するユーザのニーズを発見し、前例のない課題の解決策を導き出すという点において業務改善提案に有効なフレームワークとなるのではないか、と仮説を立て取り組みを実施してきました。

デザインシンキングを活用した業務改善提案の流れ

「デザインシンキングのフレームワーク(※上図)」に沿って、以下の取り組みを実施します。

  1. 「理解する」

    「理解する」フェーズでは、課題発掘のための情報取集・整理・分析を行います。ドリルダウン的にそれぞれの手法を活用し、お客様が抱える課題をヒアリングし、分析結果から改善対象を抽出します。以下の活動は、改善対象を「理解する」ための活動となります。

    step1 「お客様ヒアリング」

    人材育成や顧客電話対応など、お客様の抱える課題について幅広くヒアリングします。これらの中から私たちは効果的かつ即効のある課題(本件では「システム監視・データ補正業務」)にターゲットを定め、深掘りをしていきます。

    step2「カスタマージャーニーマップ」

    業務に対してのお客様の行動や心理を時系列で把握するために「カスタマージャーニーマップ」を作成します。この際、私たちが感じた疑問点を書き出します。これらにより現状の業務において問題となる部分を浮き彫りにしていきます。

    step3「ペルソナ」

    「ペルソナ」は、実際に業務を担当しているお客様をもとにして作成します。問題点とペルソナを組み合わせることで、どのような解決策が最善かチームの方向性を定めます。

    step4「親和図」

    「カスタマージャーニーマップ」で洗い出した問題点と「ペルソナ」で導き出したお客様の特徴を踏まえ、問題点の構造を明らかにしていきます。
    いくつかある問題点について共通する要素を導き出し、問題の構造をまとめていきます。

  2. 「調査する」

    「調査する」フェーズでは、「理解する」フェーズで洗い出した対象の作業内容や問題点の解決策となるアイデアを調査していきます。以下の手法を活用し、アイデアとして有効なものを段階的に導き出していきます。

    step1 「How might we」(どうすれば私たちは改善できるのか)

    「理解する」フェーズで導き出した問題の本質・ペルソナに最も有効なアイデアは何か、お客様と共に各々で書き出していきます。複数のアイデアからの絞り込みには「ドット投票」の手法を用いて行います。

    step2「クリエイティブマトリクス」

    「クリエイティブマトリクス」手法を用いアイデアを具体化していきます。「クリエイティブマトリクス」の縦軸を手段(人々、サービス、ツールなど)、横軸をアイデア、とすることで、「How might we」で選出されたアイデアをそれぞれの手段で実現するにはどんな方法となるかを考察していきます。こうしてそれぞれの手段で具体的な解決策を当社メンバーで書き出していき、最終的に有効と思われるものを「ドット投票」で選出します。

    step3「優先順位マトリクス」

    有効として選出したアイデアの優先順位付けをします。「優先順位マトリクス」の縦軸を難易度、横軸を重要度とし、アイデアがどこに配置されるかメンバーで考察します。これらを通じて本件の「システム監視・データ補正業務」で抱える問題に対し、「必要な情報を一括抽出」「エビデンスを1枚の帳票に集約」「補正仕様を整理し自動判定」機能を有する「ツールの開発」を実施するというアイデアを採用することとしました。

    具体的なアイデアを導き出すことができたら、「プロトタイプ」の作成に入ります。本件では「ツールの開発」というアイデアを採用したため、導入後の事務フローや要件定義の作成をします。これらを用いて、お客様に提案活動を実施します。

  3. 「検証する」

    「プロトタイプ」をもとにお客様にフィードバックを行います。結果、お客様から新たな要望や、提案内容についての細かな指摘をもらいます。
    デザインシンキングでは、お客様がフィードバックによる提案内容に納得できるまで、これまで実施してきたプロセスを遡って繰り返し実施していきます。本件ではお客様からの指摘を受け、「プロトタイプ」の修正を行い、計2回のプレゼンを実施しています。

  4. 「案件化」と「実施」

    お客様に共感していただいた業務改善提案をお客様内で予算確保していただきます。予算確保するための必要性や効果を説明できる資料はデザインシンキングで整理されていますのでお客様にて改めてご準備いただくことはありません。
    当社のご提案を実現する場合、プロトタイプを作成した当社にて実施することで工期・予算共に抑えることができます。

インフォテックだからできること

金融系基幹システムの運用保守とその顧客業務支援を長期にわたり対応してきたノウハウを持っている当社だからこそできる一般的な運用保守業務だけなく、お客様に沿った本質的な業務改善提案をご提供します。

一般的に「デザインシンキング」は新たなビジネスなどを想像する際に使われるフレームワークですが、日々の業務運営の中で発生する課題を解決するために活用することで、課題の本質に沿った業務改善提案に有効です。

業務に係るすべてのお客様がご納得していただくために、共感からアプローチする「デザインシンキング」での業務改善をご提案いたします。