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アジャイル(スクラム)活用事例_業務プロセス再構築

これまでのウォータフォール型のシステム改善のプロジェクトでは、計画立案や予算策定において規模が大きくなりやすく、スピード感が損なわれることが多かったり、実際に業務利用する際にはビジネス環境やお客様の状況の変化などにより仕様変更が多発するなどの問題があったりしませんか。
私たちは、お客様の実現要求を明確にしなくても「今できること」をその場で流動的にお客様と共に決定し、即効性のある改善を実現できるアジャイル(スクラム)を現行システムの再構築に採用しました

本件は、某金融系のお客様において、金融機関取引の顧客窓口または担当営業(RM[リレーションシップマネージャー])に寄せる期待は大きく、お客様の事業戦略を一層加速させるために、様々な要素が絡み複雑な業務プロセスや煩雑なシステム運用保守に対して、早期対応が求められていました。
そこには、お客様本来のビジネスを加速させるために生産性を向上させながら、RM(リレーションシップマネージャー)の付加価値が最大限発揮できる業務プロセスの改善が必要でした。
これらの状況から、業務改善プロジェクトを即効性のあるアジャイル(スクラム)による開発を提案し、効率の良い実装により早期の課題解決を実現することに成功した事例となります。

事例概要

お客様の業務プロセスは「営業→与信審査→指図→与信管理」となっており、今回はその中の「与信審査」業務のペーパーレス化・ワークフロー化の改善を図りました。この改善を皮切りに、今後は「与信審査」から「指図」へのデータ連携を実現し、業務を自動的につなぐことを検討しています。(2022年3月現在)
最終的には、お客様の業務すべてをシームレスにデータ連携することで、これまでの複雑に絡み合った業務プロセスを一新し、RM(リレーションシップマネージャー)の付加価値が最大限発揮できる業務プロセスを目指します。
今回の改善では、「与信審査」業務で稟議の回覧のために作成・印刷していた大量の紙(稟議書等)の削減と人手(マンパワー)での運用からの脱却を目指し、事務負荷軽減や業務効率化を図るべく、ワークフロー化・ペーパレス化を取り入れ、この稟議プロセスの電子化を図っています。
全体の改善をまとめて実現するのではなく、スコープを狭めスピード重視で現状を改善することから、アジャイル(スクラム)を取り入れ、着手より1年後に電子化し紙運用の脱却を実現しました。

課題

「与信審査与信判断」の稟議プロセスにおけるお客様の課題

  • 稟議書等が紙運用であるため、その都度作成や印刷の作業が発生
  • 稟議書等の紙を人手(マンパワー)により仕分けや整理、回覧を行っている
  • 大量の紙(稟議書等)が発生するため、保管場所の確保が必要
  • 稟議プロセスでは複数システムを利用しておりシステム運用が煩雑化している
  • システム間のデータ連携はされておらず、各システムに手入力のデータ登録作業が必要
  • システムレガシーでシステム面・運用面ともに同業他社と比べ電子化が大幅に遅れている
  • RMの事務作業量が多く、付加価値の高い業務に専念できない

これらの課題に対する解決方法や効果に対して、期待されることは、単に作業効率を向上させるためのシステム開発ではなく、業界動向等に合わせたシステムの継続的な改善、対応可能なところから順次に改善、再構築する業務プロセスの詳細機能は基盤開発を進めながら順次決められることです。

これらの課題を解決し、期待に応えるためのソリューションを次項に記します。

ソリューション

    お客様の業務プロセスには「営業→与信審査→指図→与信管理」があり、今回は「与信審査」をペーパーレス化・ワークフロー化を実現します。
    その後、データ連携を実現し、「与信審査→指図」までを自動的につなぐことを見据えて計画のご支援をしています。
    最終的には、お客様の業務プロセスすべてをシームレスにデータが連携されて使用できるようになることを目指します。

    お客様の抱えている課題を解決するためには、短い開発サイクルを繰り返し実施し優先度の高い機能から順に開発を行うことで、柔軟に要望を取り入れ必要なものからより早くシステム化を実現できるアジャイル(スクラム)を取り入れることを提案しました。
    お客様にとっては経験のない開発手法であったため、不安もありましたが、アジャイルのメリットや進め方などを明確に説明した結果、ご理解いただきお客様が安心して開発が行えるよう進めていきました。

    本件「稟議(与信審査)業務プロセス」の課題に着目して、「今できること」を達成するためにアジャイル(スクラム)を取り入れて実現していきます。
    喫緊の課題に対して、業務プロセスのインパクトを抑えつつ、改善効果が望めるものから取り組みました。

    まずは、本件における現行業務を整理

    1. 都度稟議書を作成し、回覧のために都度印刷している
    2. 紙とシステムでの二重管理が発生している
    3. システム登録が手入力のため、ヒューマンエラーが発生しやすい

    システムリプレイスなどの大規模な改修対応を行う場合、最終的な要件やシステム仕様、業務要件の整理などが必要となり、短期間での改善が難しいのが現状です。
    また、実現時には要求事項が変わってしまい、仕様変更が多発することが想定されます。
    そのため、本件ではアジャイル(スクラム)を取り入れ、スコープを小さくし、「今できること」「今必要なこと」を短期間で実現していきます。

    「今できること」「今必要なこと」を短期間で実現

    1. 都度稟議書を作成し、回覧のために都度印刷している
       →システムへデータアップロードすることで紙運用から脱却
       →WEB上で回覧することで作業場所を選ばずに処理が可能
       →Web化により遠隔操作可能となりコロナ禍においてもテレワーク対応が可能
    2. 紙とシステムでの二重管理が発生している
       →紙運用廃止により、紙とシステムの二重管理から脱却
       →保管場所が不要になり保管コスト軽減 賃料年間およそ7,000万円相当を削減
       →紙の場合、1~2営業日後だったタイムラグが改善し処理スピードも向上
    3. システム登録が手入力のため、人的ミスが発生しやすい
       →手入力による再登録が不要となり、人的ミス削減、人的コスト削減を実現
       →ペーパーレス化による作業負荷軽減 年間およそ5,000万円を削減

      具体的な実現方法としては、スプリント(2週間)で順次開発した画面や機能をユーザーにオペレーションしてもらいながら、新たな要件の調整や機能の要否を整理し、業務プロセスの策定と同時にシステム開発を進行することにより、その場での意思決定をしやすくしました。スプリントで認識合わせと意思決定を繰り返し、徐々に実装可能または運用可能な仕組みを実現していくことで与信稟議業務プロセスの喫緊課題の解決に成功したのです。

    今後の取り組み

    引き続きスクラムによる開発を継続し、以下の改善を短い期間、低予算で実現する予定となります。

    • システム間の自動データ連携を中心とした更なるシステム
    • 全業務プロセスの改善
    1. ローカルでの稟議作成を廃止し、システム上にフォーマットを用意し作成負荷を軽減
    2. システムをシームレス化または統合することで運用保守管理を軽減
    3. 一元管理されたデータを後続システムへの連携などで利活用

    お客様のすべての業務をシームレスにデータが連携されて使用できるようになること(業務オペレーションのシームレス化)でこれまでの複雑に絡み合った業務プロセスを一新し、RM(リレーションシップマネージャー)の付加価値が最大限発揮できる業務プロセスを目指します。今後もお客様の生産性を向上させ、事業戦略を一層加速させるために継続してご支援していきます。

    インフォテックだからできること

    ITベンダーとのお付き合いの中で杓子定規な対応で冷たく感じたり、業務にそぐわない機能を提供され不安を感じたりなどの経験はございませんか。

    ウォーターフォールでは、要件定義や外部設計工程で決めた要件でシステムを構築します。そのため、決められた要件が本当に必要なものであれば問題はありませんが、実際の開発では後から違う要件が出てくることは良くあります。今回の開発でも、当初の要件でシステムを構築したものは半分程度となっており、残りの半分は後から追加されたものです。アジャイルでは順次出来上がったものを確認したり実際に使ってみて、そこから新しいアイデアが生まれることを前提とし、いつでも新しい要件の追加は歓迎されます。そして最終的には、計画当初では考えることができなかった、ユーザーが本当に必要な機能を持ったシステムを構築することができます。

    また、このように本当に必要な機能から優先度順に作成していくことになるため、実際には使われない機能を作ることは少なくなります。一般的に、「45%の機能は全く使われていない、19%もめったに使わない」という統計(『Chaos Report、Standish Group、2000』)もあり、アジャイルではその無駄な機能を作らないことで、短納期や低コストを実現することが可能となります。

    当社では、長年にわたり業務を経験したメンバーたちが、豊富な知識を活かして、お客様の業務をよりよくするために、お客様と膝を突き合わせて課題解決をしていきます。また、お客様にとって本当に必要なIT活用のご提案も積極的に行っています。そんな中、運用保守業務において、安定稼働を担保する品質の提供と、現状の問題を抽出し業務改善の提案をしてきた実績豊富なメンバーだからこそアジャイル(スクラム)の有効性に着目。

    なぜなら、アジャイル(スクラム)を採用することで、お客様と一丸となって「今必要なこと」を「今できること」で「短期間に実現」できるからです。

    その結果、ダイレクトにお客様のお困りごとを解決してきました。システム運用保守の課題解決をスクラムで行うことで、ビジネス環境の急激な変化に対応することができるようになります。

    このようにお客様独自の状況や条件などを考慮し、お客様それぞれに合ったご提案を常日頃から行ってきたことから、今まで取り組みづらい本件のような改善提案もお任せいただけております。積極的な提案活動は、多くのお客様よりご好評をいただいております。また、その声が当社メンバーたちの自信となり、トレンドを捉えつつ、お客様にあったご提案をさらに活性化させています。これからもより多くのお客様へご支援を展開し、すべてのお客様のビジネスに貢献していくことを目指しています。